アロマティック
唇に指で触れると、まだ永遠のぬくもりが残っているような気がして、みのりは手の甲で唇を拭った。
失恋したって聞かされたとき、そんな話しに耳を傾けないで、さっさとあのまま席に戻ってしまえばよかったのだ。
でも、あんな寂しそうな表情見たら……ほうっておけなかった。
男とあんな密室にいたことすら自分で驚きなのに、そこで会話するだけじゃなく、キスまでするなんて。
でもあれは望んでしたことじゃないんだから、事故みたいなものだ。
優しさにつけ込んであんなことするのは最低だよ。
もう二度と会うことはないが、強烈なインパクトを残した永遠のことは、一生忘れそうになかった。
もう戻れない。
こんな不安定な気持ちのまま、賑やかなところへ戻れない。
取り乱したみのりは、席に戻ることなく、その場をあとにした。
……………………。
ピンポーン!
遠くでインターホンの呼び出す音。
「ん……」
寝ていたみのりは重いまぶたをこじ開け、頭をあげる。
朝日の射し込む窓の外ではスズメが鳴いていた。
時計を見ると7時。
こんな朝早く、誰? 目が覚めたばかりのみのりはのろのろとベッドを出た。ボサボサの髪のままハッキリしない頭と、あまり機能していない眼でよろよろと玄関へ向かう。
「はい……」
内鍵をかけたままドアを開けて、ドアの向こうに立つ人物を目にし、
「えっ」
頭がハッキリと目覚めた。そこには思いもよらない人物。
「と、とととと永遠、くん……」
「仕事だ」
そこには、朝日にも負けないくらい眩しい笑顔を浮かべた永遠が立っていた。
失恋したって聞かされたとき、そんな話しに耳を傾けないで、さっさとあのまま席に戻ってしまえばよかったのだ。
でも、あんな寂しそうな表情見たら……ほうっておけなかった。
男とあんな密室にいたことすら自分で驚きなのに、そこで会話するだけじゃなく、キスまでするなんて。
でもあれは望んでしたことじゃないんだから、事故みたいなものだ。
優しさにつけ込んであんなことするのは最低だよ。
もう二度と会うことはないが、強烈なインパクトを残した永遠のことは、一生忘れそうになかった。
もう戻れない。
こんな不安定な気持ちのまま、賑やかなところへ戻れない。
取り乱したみのりは、席に戻ることなく、その場をあとにした。
……………………。
ピンポーン!
遠くでインターホンの呼び出す音。
「ん……」
寝ていたみのりは重いまぶたをこじ開け、頭をあげる。
朝日の射し込む窓の外ではスズメが鳴いていた。
時計を見ると7時。
こんな朝早く、誰? 目が覚めたばかりのみのりはのろのろとベッドを出た。ボサボサの髪のままハッキリしない頭と、あまり機能していない眼でよろよろと玄関へ向かう。
「はい……」
内鍵をかけたままドアを開けて、ドアの向こうに立つ人物を目にし、
「えっ」
頭がハッキリと目覚めた。そこには思いもよらない人物。
「と、とととと永遠、くん……」
「仕事だ」
そこには、朝日にも負けないくらい眩しい笑顔を浮かべた永遠が立っていた。