アロマティック
なんだろう? みのりが車を降りたままの状態で待っていると、車内から鞄のなかをガサゴソかき回す音が聞こえてきた。
「凶器返す」
「えっ凶器!?」
みのりが驚くと、車内から顔をのぞかせた永遠が、片手に持った本を差し出してきた。外灯の明かりを頼りに表紙に目を凝らす。昨日買った本だ。
あれ? なんで永遠が持ってるんだっけ?
みのりは記憶をたぐり寄せる。
居酒屋で永遠に投げたあとから本の行方を覚えていない。どうやら投げっぱなしだったようだ。
「わたしの本、持っていてくれたんだ。ありがとう」
冷静になって考えれば怒ってたとはいえ、物を投げるのはよくなかった。言葉で伝えることだってできたわけだから。
本を受け取ったみのりは少し反省した。
「いいか。本は投げるためにあるんじゃないんだぞ? 欲しい情報を活字から受けとるものなんだ。わかるな? まぁ、みのりは狂暴だからなんでも凶器にしちゃいそうだけどな」
車内に顔を引っ込めた永遠の、冗談混じりの笑い声が聞こえてくる。
狂暴だから? はぁぁぁ?
やっぱり投げて正解。
っていうか、もう一度投げてもいいかもしれない。
次は六法全書とか、辞書みたいな分厚いやつがいい。
「凶器返す」
「えっ凶器!?」
みのりが驚くと、車内から顔をのぞかせた永遠が、片手に持った本を差し出してきた。外灯の明かりを頼りに表紙に目を凝らす。昨日買った本だ。
あれ? なんで永遠が持ってるんだっけ?
みのりは記憶をたぐり寄せる。
居酒屋で永遠に投げたあとから本の行方を覚えていない。どうやら投げっぱなしだったようだ。
「わたしの本、持っていてくれたんだ。ありがとう」
冷静になって考えれば怒ってたとはいえ、物を投げるのはよくなかった。言葉で伝えることだってできたわけだから。
本を受け取ったみのりは少し反省した。
「いいか。本は投げるためにあるんじゃないんだぞ? 欲しい情報を活字から受けとるものなんだ。わかるな? まぁ、みのりは狂暴だからなんでも凶器にしちゃいそうだけどな」
車内に顔を引っ込めた永遠の、冗談混じりの笑い声が聞こえてくる。
狂暴だから? はぁぁぁ?
やっぱり投げて正解。
っていうか、もう一度投げてもいいかもしれない。
次は六法全書とか、辞書みたいな分厚いやつがいい。