アロマティック
「明日の朝は今日と同じくらいに迎えにくる。改めて明日から頼むな。おやすみ」

「あ……うん。おやすみ」

 律儀に頼む永遠が意外で、気後れしてしまった。挨拶を交わすのを見届けたマネージャーがエンジンをかけ、永遠を乗せた車は走り出す。走り去る車の後ろ姿を見送りながら、永遠の暴言の残る心をリセットした。
 明日からアロマアドバイザーとしての一歩を踏み出すのだ。期待感からみのりの表情は明るく、自分の家へと戻る足取りは軽かった。

 目まぐるしく終わった1日の疲れを、お風呂できれいさっぱり落とし、ホッと一息ついた。歯みがきも済ませ、後は寝るだけだ。
 みのりはベッドの枕にもたれて、明日からのことを考えていた。

 うーん、永遠くんの為にわたしは何をやればいい?
 永遠からの情報は、ドラマの役でアロマを扱うってことだったけれど、具体的な話しは聞いていない。
 ベッドサイドに置いたミニテーブルの上の本に目が止まる。永遠に凶器といわれた例の本だ。手に取って何気なくパラパラとめくっていると、白い紙がはらりと落ちてきた。

「?」

 フローリングの上に落ちるのを見届けたみのりは、その紙を拾い上げる。何か書いてある。

「ん? タイトル……アロマティック?」
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