アロマティック
 みのりが必要な分量と、作る順序を伝え、それに習って永遠が、次々と材料を足していく。

「はい、これでスプレーボトル閉めて終わり」

「やった! 記念すべき一作品目」

 テンションの上がった永遠の声が、自然と大きくなる。その場にいる皆の注目が集まった。
 リーダーも眠そうなのは変わらず、突っ伏していたテーブルから、ぽわんとした顔を持ち上げた。

「はい、リーダーにプレゼントしてきて」

「えっ俺のじゃないの!?」

 てっきり自分が貰えると思っていた永遠は、明らかに残念そうだ。

「永遠くんのはいつでも一緒に作れるじゃない。これは、睡眠にトラブルを抱えてるひとに試してもらいたい、安眠スプレーだから」

「なるほど。だからリーダー」

 永遠はみのりの説明に納得して、とろんとした表情のリーダー、空にアロマスプレーを渡す。

「なに、俺……?」

 戸惑いながらも受けとるリーダーに、みのりが声をかける。

「アロマスプレーだよ。ベッドに入る30分くらい前に、よく振ってから、シーツとか枕にシュッシュッってふりかけてみて」

「シュッシュッ……」

 眉間にシワを寄せて、手のひらに収まるスプレーボトルを訝しげに見ている。いきなりわけのわからないものを渡されて、警戒しているようだ。

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