アロマティック
「あー」
廊下に音が漏れないよう、しっかりとドアを閉めて一言。
「しんどいわぁぁぁ」
ため息と共に吐き出す。
片手で器用にアスコットタイを緩めながら、衝立の裏に消えた。
「おかえり」
思い返せば仕事に行く永遠に「いってらっしゃい」。帰ってきたら「おかえり」も当たり前になったな。しみじみと感じながら、そうしたやり取りも嫌ではなかったことに、改めて気づく。
ある時期から男性と関わることをなるべく避けて生きてきたのに、永遠に関わるようになって嫌悪感を感じることなく、自然に接している自分が不思議だった。
そう、最初は振り回されてる感がすごくあった。それなのに、気づいたら永遠が近くにいることが当たり前になってきて……。
みのりがそこまで考えたとき、ラフな格好に着替え終えた永遠が、衝立の裏から現れた。
「この休憩のあと、歌のリハして本番だから」
読み込まれた分厚い台本をテーブルの上に置くと、文庫本を片手に寛いでいたみのりのとなりに腰を下ろした。
「それじゃ、一度ここに皆が集まるの?」
みのりはほとんど読んでなかった本を閉じ、テーブルに添えてあるポットのお湯を急須に入れて、永遠にお茶を淹れる。
廊下に音が漏れないよう、しっかりとドアを閉めて一言。
「しんどいわぁぁぁ」
ため息と共に吐き出す。
片手で器用にアスコットタイを緩めながら、衝立の裏に消えた。
「おかえり」
思い返せば仕事に行く永遠に「いってらっしゃい」。帰ってきたら「おかえり」も当たり前になったな。しみじみと感じながら、そうしたやり取りも嫌ではなかったことに、改めて気づく。
ある時期から男性と関わることをなるべく避けて生きてきたのに、永遠に関わるようになって嫌悪感を感じることなく、自然に接している自分が不思議だった。
そう、最初は振り回されてる感がすごくあった。それなのに、気づいたら永遠が近くにいることが当たり前になってきて……。
みのりがそこまで考えたとき、ラフな格好に着替え終えた永遠が、衝立の裏から現れた。
「この休憩のあと、歌のリハして本番だから」
読み込まれた分厚い台本をテーブルの上に置くと、文庫本を片手に寛いでいたみのりのとなりに腰を下ろした。
「それじゃ、一度ここに皆が集まるの?」
みのりはほとんど読んでなかった本を閉じ、テーブルに添えてあるポットのお湯を急須に入れて、永遠にお茶を淹れる。