百合の花
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本日14回目の電話がかかってきた。
携帯電話をがっしと掴み、彼女はタップしてそれに応じる。
「…うるさい」
小さな声でそう言って、ぶちっと切った。
「また伊織…?」
「ん」
眠たくて仕方がないから、こたつに突っ伏す俺。
そんな俺を起こしてるつもりなのか、つんつんと彼女――瑠璃は肩をつついてきた。
瑠璃はパジャマである。
モコモコ素材の、冬を感じる瑠璃のお気に入りのもの。
フードを被れば猫にゃんの完成となる、伊織が買ってきたちょっと変態趣味の入ったものだ。
リビングのテレビの前に置いたこたつに合っていて、萌える。