百合の花
リビングには、こたつでなにやらノートに書き込んでいる歌月の姿が。
紙を机一杯に広げて、ペンを走らせる。
「…弥生?」
眠いだろうに、必死に起きて。
真っ赤になった目に綺麗と思うのは、惚れた弱味なのかも。
「んだよ。まだ飲んでないの?早く飲んで寝な」
「んー。まだもうちょっと起きてたいからさあ」
この薬、睡眠作用があるらしく、服用すれば必ず寝てしまう。
前回は二日間。
歌月は今回一日に縮めて、スケジュールの都合を気遣ってくれた。
一見優しいように思えるけど、私は気遣われれば気遣われるほど苦しくなる。
「起きてたいって…眠くないの?俺眠くて死にそー…」
「大丈夫?無理しないでよ」
マグカップをこたつに置いて、歌月の隣に座ってノートを覗きこむ。