百合の花
無知な薔薇
◇◆◇
澄みきった朝に、ニュースが流れる。
『今朝入ったニュースです。昨夜未明、ホテルで男性の遺体が見つかりました――』
「…ねぇ歌月」
お箸にお茶碗を持ちながら、大きな目を不安に揺らす。
今日の朝御飯は、ご飯に味噌汁、昨夜の残りのお魚の煮込み。
「これ…弥生さんの」
「ん。その通り」
「……」
無意識なのか、心なしか悲しそうな顔をする。
――勿論瑠璃は知らない。
まさか、この仕事は瑠璃がやらなくてはならないもので。
それを弥生が“下請け”したなんて。
弥生はこんこんと眠り続けている。
昨日あんなに荒れたのが嘘のように。
乱れることなく、淡々と。