百合の花
「でも、ついてきた方も同罪です」
ふふふ、と妖しく笑われ、みじろぐ男。
逃げられないものかと迷う反面、男は彼女に魅せられ始めていた。
――こんな美しい女を抱けるなんて、滅多にあるものじゃない。
ゴシップなんてばれなければいい。
いや、そもそも彼女は変装してきているから、バレるなんてことはないはずだ。
最初の世間体を気にした反抗は、脆いものとなっていた
それに気がついたらしく、桐生鈴花はにっこりと笑う。
やけに幼い笑みに、罪悪感が芽生えた気がしたが、興味も沸いてくる。
――こんな女を鳴かせてみたい。
男はもはや、“男”になっていた。
「あ…っ」
桐生鈴花が歩み寄ってくる。
そして、男の胸板をとん、と。
軽く押して、男の視界が反転した。