恋の味【更新中】
私は履いていたスニーカーを片足ずつ脱ぎ、砂浜に放り投げた。
薄ピンクのバルーンワンピースが海風になびく。
そして、右足から、水に、ゆっくり、ゆっくりと触れる。
どうしてか、このまま海に吸い込まれたら思い出すことさえも未だ叶っていない彼との記憶と一生共にいられるような気がしたのだ。
私自身、どうしてここまでそので¨記憶¨にこだわるのか全くわからないが、それでも幼い頃の私が、私の中にいる真の私が、大切なんだ、と叫んでいる。
日は落ち始め、それと比例して私の足も前に進む。
水面はすでに腰のあたりにまで満ちていた。
不思議と冷たさは感じなかった。