恋の味【更新中】


…と。

急に、2人で座っているベンチの目の前の道路の向こう側にあるオレンジ色の光が、2、3個動いた。


その光はだんだんと近づいて来て、道路を渡り、私達の目の前に咲いていた、真っ白な花をぐしゃっと踏み潰した。

ずっと暗いところにいたせいか、暗闇の中でも目の肥えていた2人には、はっきりとその花の存在を捉えることが出来ていた。


「…あ」


思わず、踏み潰された花を見て声を漏らしてしまった。


そして、その光は、夏樹と白雪の顔やら体やらを少々さまよった後、ピンポイントで2人の顔を照らした。


目の前がオレンジ色に染まる。


暗がりに慣れてしまっていた目には強過ぎる刺激にクラクラした。


< 34 / 126 >

この作品をシェア

pagetop