恋の味【更新中】
そして、夏樹の下に座り込み、肩をこぎざみに揺らす髪の長い女の子に目を向けた。
「…優里?優里?!?」
優里が泣いていた。
右の頬は赤く腫れていた。
「ねぇ、夏樹が殴ったの?」
私の問いに対しての返答はなく、ただ目を逸らした。
夏樹はギリギリと歯を食い縛って怒りを抑えているように見える。
夏樹は何もないのに人を殴ったりするような人じゃない。
そんなことは分かりきっていた。
でも、でも…、だからって女の子を殴った事実は消えないんだ。
「夏樹、答えてよ…」
「もういいよ白雪ぃ」
泣きながら控え目に私のワンピースの裾を優里が引っ張る。
「お前、白雪に触るな」
ギロっと夏樹が優里を睨みつける。