恋の味【更新中】


「夏樹いぃぃ」

名前を呼んでも彼には届かない。

その腕を振り払って白雪は走り出す。


後から知ったこと。
白雪の手を掴んでいたのは優里だった。



…なんで止めの?

…私たちを、引き離したいの?


やめて…やめてよ…

気が付くと彼の背中はほんの3、4mの所まで迫っていて、それでも白雪は必死で追いかけた。


「待って…待って夏樹…はぁっ」


息が切れる。

昔よく訪れていた海の砂浜に立つ。


夏樹の足がぴたっと止まり、体をこちらに向けて、

「お前だって向こう側の人間だろ?!
俺が全部悪いって思っただろ?…少なく
くとも、そういう目だった」


< 46 / 126 >

この作品をシェア

pagetop