恋の味【更新中】
指がピクピクと動き、痙攣していた。
じわじわとコンクリートが紅に、いや、明らかに鮮血の色へと染まっていく。
トラックの運転手は青ざめた顔をして駆け寄り、驚愕といった表情をしていた。
…何も見えない。
夏樹しか、いらない。
夏樹が死んじゃう。
…死ぬ?
嘘でしょう?
嫌だ、嫌だ。
心の中でいくら嫌だ、と叫んだところでそれは誰の心にも響かない。
「い、い、いやああぁぁぁぁ」
私の絶叫が、響いて、海に吸い込まれるように消えた。