恋の味【更新中】



海は綺麗だ。

だけど、海は嫌いだ。


あの時、俺がこの坂を駆け上がったりなんかしなければ。

俺がトラックになんか轢かれたりしなければ。

白雪の中に今も尚存在することができていたのかもしれない。



今でも覚えている。

はっきりと、聡明に。

トラックの近づく音。

体を劈くような痛み。

泣き叫ぶ白雪の声。


…あの時俺は何を言おうとした?

< 80 / 126 >

この作品をシェア

pagetop