恋の味【更新中】
「もう帰りましたよ」
にこっと幼い笑顔を見せた。
その仕草は男だが可愛らしいものだった。
そうか、また明日にしよう。
そう思った夏樹はくるりと彼に背を向けて歩きだそうとしたのだが。
ガッシリと、その青年に腕を掴まれていた。
「え?」
「あの、あなたは白雪の何なんですか?」
「え、えっと、友達?ですけど?」
とだけ答えると、少し疑わしそうだが、彼はほっとしたような表情を見せた。
違う。
必然的に、もう白雪の記憶になつきはいない訳だから、付き合っていたことすら分からないはず。
だけど、いつ別れようって言った?
俺の彼女だって言いたい。
でもそんなことをしても白雪は喜ばない。
ただの妄想野郎だと笑われて終わるだけ。
だから、しょうがない。
今は、友達だということにしなくては。
そう、仕方のないことなんだ。