白雪さんと7人の兄弟
白アネモネの花占い
小鳥さんの家…いや、私がこれから住む家に向かっている。
タクシーで駅まで行った後、東京に向かうそうだ。長い間住んでいた小田原を離れるのは、少し寂しい気もした。
「家はね渋谷にあるの。長男はちょっと離れたところに住んでるんだけどね、まぁ会えない距離じゃないわ。」
「そう、ですか…その、何から何まですみません…。」
「いいのいいの。娘が母親に頼るのは、当たり前のことでしょ?」
母親、娘。
その言葉が頭の中でリフレインする。そうか、私は小鳥さんの娘になるんだ。
小鳥さんは、お母さんなんだ。
でも、私の中のお母さんというのは、7歳まで一緒にいたお母さんで。
「…ふふ、無理して私のことお母さんなんて呼ばなくていいのよ。貴女にとってのお母さんは、ずっとお姉ちゃんなんだから。それに、兄弟達も私のことお母さんって呼ばない子もいるし…。」
「じゃ、じゃあ小鳥さんのままで…。」
「構わないわよ。」
小鳥さんは「着いたみたい。」と言ってタクシーの運転手にお金を渡した。
「行きましょうか、妃奈。」
「はい、小鳥さん。」
小鳥さんに手を引かれ、私は歩き出す。
頑張らないと。兄弟ともうすぐ出会うんだから。