白雪さんと7人の兄弟
「あ、あのぅ…紘夢さんって、どんな方なんですか?他のご兄弟のことも…。」
「ん?あぁ、いい奴だよ、紘夢は。ただ不器用だからよく勘違いされるだけ。他の兄弟かー…うーん、サク兄…あぁ、朔ね。一児の父親だからしっかりしてる。真澄はちゃらんぽらんだよ。紫苑は真面目だし子供好き、伊月は非の打ち所がないってか…こう、完璧かな。で、末っ子の虹は…んー、あいつが一番形容しがたいな。」
「そう、なんですか…。私、馴染めるでしょうか。」
「ははっ、大丈夫大丈夫!」
車の前の鏡越しに見た竜次さんは、クスクスと笑っていた。
「妃奈はいい子だし、嫌われる要素なんてないよ。うん、そうだな。それと、俺に敬語もいらないし、さん付けもいい。」
「え、えっと…。」
「ふふ、竜次ったら意地悪しないで。そうねぇ、竜次お兄ちゃんとでも呼んであげてちょうだい。」
にやり、と小鳥さんは口角を上げて言った。
お兄ちゃん、かぁ。
私は、ゆっくりと言った。
「竜次、お兄ちゃん…。」
「なぁに?妃奈。」
竜次お兄ちゃんの声色はとても優しかった。
「…よし、もうすぐで着く。妃奈心の準備は大丈夫?」
「はい!…じゃなくて、うん、竜次お兄ちゃん。」
今なら、頑張れる気がするよ。
ねえ、リセ?