白雪さんと7人の兄弟

竜次お兄ちゃんの車は大きな大きな一軒家の前で止まった。
思わず感嘆の声が溢れる。

「お、大きい…！」

「だろ？結構部屋数もあるし、過ごしやすいよ。よし、入ろうか。」

荷物を持って、私もさぁ行こうとした時だった。隣にいたはずの竜次お兄ちゃんがひょいと私の荷物を持って、歩いている。

「も、持つから！大丈夫ですって！」

「いーのいーの！お兄ちゃんに甘えといて！そんなことより、早く！あいつらが待ちくたびれちゃうから。」

「行くわよ、妃奈！」

小鳥さんに背を押され、竜次お兄ちゃんが開けた家の中に入る。

始まる。私の新しい生活が。

緊張と不安と期待が心の中で入り混じる。目を閉じると、瞼に浮かぶあの子達。別れたのは朝のことなのに、もうずっと前のようにも感じる。

私、頑張るから。
ぎゅ、と手を握りしめて私は前へと進んだ。