白雪さんと7人の兄弟
「ただいまー!」
竜次お兄ちゃんはそう言いながらリビングへと入って行く。その後を小鳥さん、そして私が続く。
「お帰りぃ、竜兄!」
少し幼い少年の声。
「少し遅かったね。…連れてこれたの?」
「あぁ、連れてきたよ。ねえ、母さん。」
「ええ!すごくいい子よ。いらっしゃい、妃奈。」
小鳥さんに声をかけられ、おずおずと前へ出る。
「改めて紹介ね。この子の名前は妃奈。私のお姉ちゃんの娘よ。仲良くしてあげてちょうだいね。ほら、妃奈。」
「ひ、妃奈です…不束者ですが、よ、よろしくお願いします!」
勢いよく頭を下げると、目の前のテーブルにゴツリと頭をぶつけた。
やってしまった。
恥ずかしい、恥ずかしい。
身体中の体温が突沸して、今にも燃えてしまいそう。
「ぷぷっ!」
少年の声が部屋に響く。
「妃奈姉ってばドジなの?まぁ面白いけどぉ。ぼくは虹(こう)だよー。にじって書いてこうって読むの。」
「あ、じゃあ俺も!白雪紫苑、21歳です。」
「じゃ、僕もかな。白雪伊月、君の一つ上だよ。学校では気軽に頼ってね。」
「で、俺はまぁいいか…とにかく今いる面子はこんな感じだ。あとは長男と三男と六男がいるよ。とりあえず部屋、見ておいで。えーっと、じゃあ紫苑、案内してあげて。」
はーい、と紫苑さんは私に向かって手招きをする。
来いってことなのかな。
おとなしくついていくと、「じゃあ行こうか!」といい笑顔を向けられた。