誠 ~150年の時を越えた思い~

外の世界

窓の外は気持ちの良さそうな風が吹いている。

『記憶喪失』と聞かされてから外の世界に出たことがない。

ふと、目に入ったカレンダーを見れば今は9月20日。

あれから5ヶ月立ったのか。

もうそろそろ、風に当たりたいな。

「彩ちゃん、気分はどう?」

扉の方を見れば、薄茶色の短い髪を少し束ねた男性が立っていた。

その男性は見覚えのある人だった。

「総ちゃん。お仕事お疲れ様、もう終わったの?」

「うん。まぁ、お父さんに『早く会いに行ってやれ』って言われたのと。早く会いたかったから、昨日のうちに終わらせておいたんだよ。」

「そうなんだ。わざわざありがとう。」

総ちゃんは近くにあった椅子に腰を掛けた。

そして、すぐ眠ってしまった。

そうだよね、わざわざ夜遅く迄仕事してたんだもんね。

何時も何時も、ありがとう。
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