こうべ物語



流し台に向かって立っている七海と、その七海の背中に体を寄せる麻里奈。


やかんの口から沸騰した泡の音が小刻みに聞こえる。


どれくらいの時間が経っただろう。


ゆっくりと七海から体を離した。


七海はやかんの火を止めて、麻里奈に向かって振り返った。



「麻里奈ちゃん…。」



一歩一歩、後退りをして距離を作ると、麻里奈は真っ直ぐに七海を見つめた。


そして、そのまま両手を胸元のブラウスのボタンに近づけて、一番上から外し始めた。


目を逸らさずに1つ1つボタンを外して行く。


両肩からするりとブラウスが床に滑り落ちた。


ブラジャー姿のまま、今度はスカートのファスナーに手を掛ける。


ファスナーを下ろすと、スカートがブラウスと同じように滑り落ちた。


下着姿のままの麻里奈。


その姿を呆然と見つめる七海。



「私を、抱いて…。」


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