こうべ物語



「さくらちゃん、この前は本当にありがとうね。」



「いえいえ。」



「実はね、私、夏休み中にある人から告白されてね。」



「へぇ。」



「その人は…、私の学年で一番モテるって有名な人なの。」



「涼子さん、凄ーい!」



「私、告白なんてされたの初めてで…。自分が不細工で地味なのは分かっているから、絶対騙されていると思ったの…。」



「そんなに思わなくても…。」



「ううん。さくらちゃんや麻里奈さんは私の事褒めてくれるけど、自分の事は自分が一番よく分かっているから…。それで、他の女子生徒達からも妬まれていじめられるし、あまりにも辛いから彷徨い歩いていた…。」



「それが、あの湊川神社だったんですか?」



「…うん。」



涼子も不思議に思った。


自分より年下の、今日が2度目のさくらに向かって色々と話す事が出来る。


自分でカッコ悪いと分かっているのに話す事が出来る…。


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