こうべ物語



「それでも、誠也は信じて欲しいって言ってくれて…。私、嬉しくて、本当に嬉しくて、心からはい、って返事をする事が出来たの。」



「素敵な話ですね。」



「信じよう、って思えた。それから毎日のメールや電話や会話がとても嬉しく思えてきた。」



「それは、きっと涼子さんが彼の事、純粋に好きだからだと思いますよ。」



「でもね、先日、ある公園で見てしまったの。それがショックで…。」



「何を見たのですか?」



興味津々でさくらが尋ねてくる。



「雨の日に…。誠也が知らない女子生徒と1つの傘の中で並んで歩いている所…。」



「へっ?」



必ず酷い、衝撃的な事だと思い込んでいたさくらは、拍子抜けした様に、口を開けたまま呆然となった。



「涼子さん、そんな事で…。」



「そんな事って…。それに、2人で指輪を眺めていたの…。」



俯きながら終始、暗い表情で語る涼子を今度はさくらが呆れたように話始めた。


< 137 / 202 >

この作品をシェア

pagetop