こうべ物語
確かに、あまり相手の事を考えずに、いや、考え過ぎて色々やり過ぎる事がある。
それはもう、相手からすれば、好意ではなく、迷惑になっている事に気付かずに。
相手に指摘されて自覚した事が何度かあった。
小さい頃から両親には色々な所に連れて行ってもらっていた。
勝利の家の人達とも家族ぐるみでよく遊びに行ったりしていた。
勝利の父親からもとても可愛がられていると思う。
(お節介過ぎるんだよね~。調子乗りだし…。もっと恵まれている事を自覚にした方が良いのかもしれないな~。)
ベットに仰向けになる。
(勝利には勝利の考えもあるだろうし…。邪魔はしたくないな…。)
暫く呆然と天井の明かりを見つめながら、自分に出来る事を必死で頭の中で考えた。
そして、急に起き上がると、今度は学習机に向かって座り、おもむろに引き出しを開けた。
取り出した物をまじまじと眺める。
(せめて、私の素直な気持ちだけ伝えよう。そして、その後はじっと見守ろう。それも優しさ、私の今一番出来る事なはず。)