こうべ物語
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午後7時55分。
徒歩3分。
家から一番近い公園。
街灯が明るく照らしているグラウンド。
その真ん中で、さくらはじっと立っていた。
(あ。)
空を見上げる。
(雨…。)
髪の毛に刺さるように落ちてくる感覚。
さくらは急いで、グラウンドの脇へと避難した。
(雨降るなんて言ってなかったのに~。傘取りに帰りたいけど、その間に勝利が来たら困るし…。)
ひとまず、木がたくさんの葉を広げている陰で暫く待つ事にした。
雨が降ってきたせいなのか、少し肌寒く感じる。
(もうすぐ10月か…。)
夏休みの期間中に愛知へ進学すると聞いてから1ヶ月以上経とうとしている。
(早いものだな…。このまま卒業まであっという間なんだろうな…。)
徐々に雨が激しくなって、木の茂みだけでは賄う事が出来なくなってきた。
(ああ、もう!)
少し苛立ちを感じた時、ふと頭に雨が当たる感覚がなくなった。