こうべ物語
「大池さんの事、好きだから。」
「えっ?」
「好きなんだ。」
俯いたままどうすれば良いのか分からない。
誠也は涼子の顎に触れ、軽く顔を持ち上げると、再度囁いた。
「好きだよ。」
「か、からかうのは…、や、止めて下さい…。」
必死で目線を合わさない様に顔を背ける。
「からかってなんていないよ。」
どこまでも優しく囁き続ける誠也。
「だ、だって…。」
恐怖心の上に、恥ずかしさも生まれてくる。
「わ、私…。こんな顔だし、性格だし…。」
「可愛いよ。」
「ほ、本当に止めて下さい…。」