こうべ物語
「ライブの練習ってのは嘘なんだ。」
「嘘…。」
体中が小刻みに震える。
(私、誠也に嘘つかれてた。やっぱり私、馬鹿にされて…。)
手で顔を覆い、溢れてくる涙を必死に隠す。
「涼子、待て。最後まで話を聞け。」
「だって…。」
「いいから聞け!」
強い口調で言われると、涼子はただ頷くしかなかった。
「嘘ついたのは謝る。悪かった。けど、それにはちゃんと理由があるんだ。」
「理由…?」
「探してたんだよ。」
「何、を?」
頭の中であらゆる答えを探し出す。
しかし、誠也の答えは涼子にとって全く想定外の事だった。