こうべ物語
「俺な、役者になりたいんだ。」
「素敵。」
素直に思った。
「大学行きながら、役者の勉強もしたいと思ってる。」
「誠也ならカッコいいから絶対、いい俳優になれるよ。」
「演技力ないけどな。」
「これからだよ。」
「涼子はホント明るくなったよな。」
目を細めて嬉しそうに言う誠也を見ていると恥ずかしくなり目を逸らした。
「眼鏡止めたからかな。」
涼子は再び黒縁の眼鏡を止めて、コンタクトにしていた。
「コンタクトの方が絶対可愛いよ。」
「それだけじゃないよ。」
「そうか?」
「うん、誠也がいてくれる、からだよ。」
誠也の事を本気で信じる事が出来るようになり、不思議と自信がついてきた。
その甲斐もあって、学校へ行ってももう陰口を叩かれたり、苛められる事もなくなっていた。
「俺は、あの時涼子に告白して良かったと思う。」
「私も誠也が傍にいてくれるから、頑張れる。」
「なぁ、涼子。」