こうべ物語
汚れた制服。
ボサボサの髪の毛。
曇った黒縁の眼鏡。
涼子はここ3日間、学校に登校していない。
家にも帰っていない。
先生に罵声を浴びせられ、同級生に土下座させれてから、何もかもが辛くなり、気が付けば当てもなく歩き続けていた。
涼子の家庭は父親が単身赴任中で、その間に母親が他の男と不倫をして蒸発している為、いつも1人で暮らしている状態。
なので、どこへ行こうが家族誰も気付いていない。
(私なんて…、居なくてもいいんだ…。)
元々の始まりは、学年一のモテ男、誠也からの告白だった。
だからと言って、誠也を責める気持ちは全くない。
(私が、いけないんだ…。)
歩きながら自分を責め続ける。
(私が…、もっと人間だったら…。)
ふと見上げると、森が目の前に見えた。
(お腹…、空いたな…。)
吸い込まれるように、涼子はその森に向かって近づいて行った。