こうべ物語
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さくらは立派な表門をくぐると、真っ直ぐに歩いていった。
日曜日なだけあって、参拝客が数多くみられる。
(それにしても、今日も暑いな…。)
Tシャツ姿なのだが、暑くて仕方がない。
手を団扇代わりに仰ぎながら、社殿に着いた。
立派な真っ白な社殿。
その前まで歩くと、ポケットから5円玉を取り出し、軽く投げ込んだ。
手を合わせて頭を下げる。
「勝利が今日の試合、活躍しますように…。」
小さく呟く。
頭を上げて自分を納得させるように軽く2度頷くと、満足した顔を見せてくるりと振り返った。
(ハーバーランドまで行ってみるかな。)
辺りをキョロキョロと見渡しながら来た道を戻って行く。
(ん?)
右側を見ると、入ってきた門とは別の、少し小さめの門があるが、その脇で誰かがうずくまっている姿が見えた。
他の参拝客は気が付いていないのか、誰も声を掛けようとしない。
(どうしたのだろ?)
小さくうずくまったまま、動く気配がない。
さくらは何となく気になり始め、その人物に近づいて行った。