こうべ物語



「あの…。」



(…?)



「大丈夫ですか?」



(私に声を掛けてくれているの?)



涼子は聞こえる声が自分に向けられている事に気が付くと、ゆっくりと顔を上げた。


目の前に、ショートカットで少し色黒な、健康的な女性が心配そうな顔をして少し屈んで涼子を見つめている。



「体調でも悪いのですか?」



「え、え…。」



「熱でもあるのですか?」



「あ、あ…。」



「救急車、呼びましょうか?」



「だ、大丈夫、です…。」



立て続けに質問をしてくる女性に、涼子は戸惑いの表情を浮かべた。


その表情が余計に女性にとってはおかしいと感じたようだ。


そして、キョロキョロと辺りを見回し始めた。



(この人…、私の事、心配してくれてる…。)


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