こうべ物語
「うわぁ、凄く綺麗。」
色黒の女性、さくらは目を輝かせながら、窓から見える神戸の街並みに見入っていた。
さくらとずっと俯いたままの女性、涼子をポニーテールの女性、麻里奈は優しく見つめる。
山と海に挟まれた神戸の街は、中心地である三宮、元町からすぐ近くに神戸港がある。
神戸港にはシンボルマークでもある真っ赤な鼓状のポートタワーがあり、その手前に高層ホテルがあった。
神戸でも有数の有名ホテルだ。
そのホテルの最上階、35階のレストランでさくら、涼子、麻里奈の3人はテーブルを囲んでいる。
湊川神社で偶然出会った3人は、麻里奈の提案でハーバーランドにある温泉施設を訪れた。
「温泉って言っても、かけ流しじゃないんだ。」
「麻里奈さん、都会の真ん中でかけ流しはないですよ。」
「私は温泉と言ったらかけ流ししか知らないから…。」
「まぁ、私の家の近所の有馬温泉ならかけ流しですけど。」
「有馬温泉、私、行った事あるよ。200人くらいで貸し切って…。」
「麻里奈さん…。」