こうべ物語
平然と自分の価値観で話す麻里奈と、呆気にとられるさくら。
その2人と対照的に、温泉に入る直前まで涼子は申し訳ないと固辞していたが、半ば強引にさくらが温泉に引きこんだ。
その後、麻里奈はタクシーを呼び止め、1キロも離れていない高層ホテルまで2人を連れて行った。
タクシーの中で。
「私は塩屋さくらと言います。中学3年生で北区に住んでいます。今日はお母さんとここまで来ました。」
さくらがまず初めに自己紹介を済ませた。
「私は、押部谷麻里奈。東灘区に住んでるの。今日はハーバーランドに買い物に来たついでに湊川神社に来てたの。」
麻里奈が続けて自己紹介をする。
「私は…、大池…、涼子…と、言います…。高校…、3年生、です…。須磨区…、です…。」
最後に、途切れ途切れに、かすれる声で、大池涼子が自己紹介を終えた。