こうべ物語
公園のベンチで並んで座る。
「俺な。」
2人の目の前を小学生達が走り回っている。
「父ちゃんが少年野球の監督だから、小学2年生の頃から、ずっとここで野球をやって来た。もちろん、さくらも知っているだろ?」
「うん。」
「いつも見に来てくれたもんな。」
「毎日のように見に行ってたね。」
「やっぱりな、俺、どうしても野球が好きだから、もっと上手くなりたいって思ってる。」
「うん。」
「だから…。」
空を見上げる。
鮮やかな夕焼け空。
「高校は、野球の強豪校に行こうと思ってる。」
「…。」
「俺は、甲子園に行きたい。」
勝利の力強い言葉がさくらの胸に沁みこんでいく。
「私は…。」
さくらも同じように空を眺める。