こうべ物語



「それにしても、涼子ちゃん、学校、西区の学園都市なんでしょ?」



「はい…。」



「そこから3日かけて湊川神社まで歩いて来たんでしょ?」



「はい…。」



「さっきホテルの人に聞いたけど、直線距離でも10キロ以上あるみたい。」



「10キロ!?」



「しかもただの10キロじゃないみたい。神戸には山がたくさんあるからね。」



「私には無理だぁ…。」



頭を抱えて大袈裟にさくらが叫ぶ。



「夜はどうしていたのですか?」



そのままさくらが涼子に尋ねる。



「お金は…、多少は持っていたので…。ファミレスで朝を待ちました…。」



「それなら良かった。女子高生が夜、出歩いていたら危ないものね。」



安堵の表情を見せる麻里奈。



「それにしても…。」



急にさくらが振り返り、麻里奈の顔を見つめた。


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