こうべ物語



「ごめんね。私、あんまり引き出しないから、これくらいしか思いつかなくて…。」



「いや…、そうゆう意味ではなくて…。」



そこまで呟くと、涼子はまた涙が溢れて来たので、メガネを外し、拭い始めた。



「涼子さん、大丈夫ですか?」



さくらがすぐに近寄って、涼子の背中をさする。



「ど、どうして…、私なんかの為に…。」



嬉しさと情けなさが込み上げる。



「私…、こんなに優しくしてもらったの…、初めてだから…。」



余りにも泣き止まない為、さくらと麻里奈は顔を見合って苦笑いを浮かべた。



「涼子ちゃん、色々あったんでしょ。さっきも言ったけど、これも何かの縁よ。」



「そうですよ。涼子さん、ここは麻里奈さんのご好意に甘えて、たくさん食べましょうよ!」


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