こうべ物語
「私は…。」
涼子が話し始める。
「可愛くないし、性格も暗いし、地味だし…。そんな事は自分自身が一番よく分かっているんです。」
さくらと麻里奈も一旦食事を止めて涼子を見つめた。
「小学生の頃からそうでした。周りから白い目で見られ…。だから、必死に目立たないようにしていました。なのに…。」
そのまま俯いて涙を拭う。
「私、さっきお風呂でね。」
さくらが微笑みながら話しかける。
「眼鏡を取った涼子さんを見て、凄く可愛いな、って思いました。」
「私も、涼子ちゃんって大人しくて思わず包み込みたくくらい可愛いな、って思うよ。」
麻里奈も同調する。
「そんな…。」
2人の優しさが心に響く。
「名前だって、私、涼子って…。いまどき『子』が付く名前なんて古いっていじめられたし…。」
「いやいや。私の方が古い名前ですよ。ひらがなだし。」
さくらが顔の前で手を左右に振りながら即座に否定する。