こうべ物語
「さくら、ってとても日本的で素敵な名前だと思うわ。」
麻里奈がさくらに顔を向ける。
「私なんて、苗字と名前合わせて漢字6文字もあるのよ。書くのが面倒で…。」
「確かに面倒な感じですね。私、ひらがな3文字で簡単だ。」
さくらが思わず笑う。
そのまま今度は涼子に顔を向ける。
「私のクラスでも、『子』が付く人たくさんいますよ。優子とか、紀子とか…。」
「私の大学でもいるよ。泰子とか…。」
さくらと麻里奈はどこまでも明るく話しかけてくる。
「どうして…。」
そしてどこまでも暗く小さく呟くように話す涼子。
「ここまで私に優しくしてくれるのですか…。」
「だって、神社で1人うずくまっていたら、誰だって心配しますよ。」
「私…、何やっても誰かに迷惑かけているんですよね…。」
「いや…、そうゆう事じゃなくて…。」
さすがにさくらも呆れてきた。