こうべ物語
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「私、麻里奈さんや涼子さんと出会えて嬉しかったです!こんな立派なホテルに来るのも初めてだったし。」
ホテルのロビーで無邪気にさくらが声を上げた。
その姿を見て涼子にも笑顔が見える。
「涼子さん、ちょっと元気になりましたね?」
「はい。私も…、偶然でも麻里奈さんとさくらちゃんに出会えて良かったです。」
「そうだ、折角の記念に3人で写真を撮りましょうよ!」
「そうだね。」
さくらの提案に麻里奈が喜んで相槌を打つと、写真を撮影してもらう為にキョロキョロと辺りを見回した。
その仕草に反応して、ガッチリとした体型の1人のホテルマンが近寄ってきた。
「すみませんが、ここで写真撮ってもらえますか?」
「かしこまりました。」
ホテルの入り口でさくら、涼子、麻里奈はそれぞれの携帯電話で順番に撮影をした。
「こちらでよろしいでしょうか?」
麻里奈に撮影した画像を見せて確認するホテルマン。
「ありがとうございます。」
そのホテルマンは深々と頭を下げると、ホテル内に戻って行った。
「やっぱりホテルマンって礼儀正しくて素敵ですよね…。」
感心するさくらに麻里奈が呟いた。
「そりゃ、総支配人だからね。」
「ええっ!?麻里奈さん、総支配人さんに写真撮影させたのですか?やっぱり麻里奈さんって…。」
「もういいって!」