こうべ物語
「勝利は、もう学校へ行ったわよ。」
「そうですか。」
歩きながら考える。
(きっと、朝練に行ったんだよね。と言う事は勝利、何もなかったんだよね。)
自然と嬉しくなる。
しかし、登校して校庭を見ると、野球部が練習している姿はどこにもなかった。
そのままさくらは、自分の教室へ向かう為、校舎の階段を登り始める。
「あっ。」
ふと顔を上げると、上のフロアから勝利が階段を降りてくる姿が目に入った。
「勝利!」
思わず、小走りに駆けあがって近寄る。
「ん?ああ、さくらか。」
「おはよう!」
「おはよう。」
いつもの元気がないように感じる。