こうべ物語
(勝利の邪魔だけはしたくないな。)
脚をバタつかせる。
(でも…、愛知に行ってしまうと、もう会えなくなる…。)
くるりと仰向けになる。
(卒業するまでに…。)
今度は真っ白な天井を見つめる。
(好き、って伝えてもいいのかなぁ…。)
「どうしたらいいのだろう…。」
最後に言葉にして呟くと、ベッドから起き上がり、窓のカーテンを開けた。
勝利の家ははす向かいなので、窓から外へ顔を出して右斜め前を見ると勝利の部屋が見える。
電気は点いていない。
(勝利…。)