こうべ物語



「花隈、君…。」



「どうした?」



「私…。」



顔を上げる。


誠也と目が合った。


切れ長の、優しい目。



「私…、花隈君の事…。」



涙が再び溢れる。



「信じても…、いいですか?」



やっとの思いで伝えた言葉対して誠也はにっこりと微笑みながら、肩を抱いていた手で今度は涼子の頭を優しく撫で始めた。



「当たり前だろ。」



その言葉を聞いて、涼子は誠也に向かって初めて心からの笑顔を見せる事が出来た。


< 97 / 202 >

この作品をシェア

pagetop