こうべ物語
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9月に入り2学期が始まった。
夏休みの間、誠也と彼氏彼女の関係になった涼子は、毎日のようにメールのやり取りをしていた。
『今日は朝からバンド練習。』
『晩飯は先輩とラーメン。』
誠也から届くメール。
それはいつの間にか自然と楽しみになり、待ち遠しくなっていた。
(付き合う事がこんなにも楽しい事だなんて…。)
誠也と付き合い始めてから変わり始めていた。
2つに束ねていた髪を1つにして、黒縁の眼鏡もコンタクトに変えた。
何より自分に自信を持るようになっていた。
「涼子!」
大きな池沿いに続く通学路。
後から声を掛けられた。
誠也がニコニコしながら近づいて来る。
「今日も待ってろよ。」
「うん、分かった。」
軽く肩を叩かれると、そのまま誠也は先に歩いて行く。
そのうち、周りに他の女子生徒達が集まってくる。
その姿を見つめながら涼子は込み上げてくる嬉しさを必死に抑えていた。
(どれだけ誠也がモテても、今は私が彼女…。)