選べない…
翌日

前の日まで元気だった空と佐野君が休んだ。私が思うに空はズル休みだろう。私はその2人に今日の課題やプリントを届けに行くことになった。隣の家の空はいいものの、佐野君の家は全く知らず先生に地図を書いてもらった。適当すぎてわかりにくい。
佐野君の家に向かっていると途中で佐野君のファンの子に尾行されていることに気づき逃げようとうろうろしていると突然誰かに腕を引っ張られた。
少し歩くと誰かの家についた。引っ張っていた手が離れその顔を見ると…佐野君だった。着くなり佐野君は「なにしてんの？こんなところで」と言われた。少し怖かった。黙っていると「何？」と言われ怖くなってプリントを渡して逃げようとした。だが、また腕をつかまれ逃げられなかった。振りはらって逃げようとしても男子の力に勝てるわけもなく、無駄な抵抗でしかなかった。

その時、佐野君の顔はなにやら不気味な笑みに包まれていた。

「沙菜？」振り向くと空が近づいてきて佐野くんの腕を掴んだ。
「嫌がってるだろ。いいのか？学校1の人気者がそんな女子の嫌がることして」佐野くんは空を鼻で笑い手を離した。空は佐野くんを睨みつけて家の方へ向かった。空は私の手を持ったまま一言も喋らず何があったのかも聞かずただただ黙って歩き続けた。家に着くと「じゃーな」と言って帰っていった。
あの日から空はいつも私の近くにいるようになった。佐野くんが近づいてくるといつも睨んでいる。その時の教室の空気は最悪だ。もうどうしたらいいかわからない…。
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表紙・目次

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