私は確かに愛してしまった
私の背中にぽつりと呟かれた言葉に苦笑する。

「まぁ…あまり物があるの、好きじゃなくて」

「欲がないんだ?」

「そうかも」


私は微かに笑いながらキッチンへ向かう。
火を消して、鍋のふたを開けると美味しそうな香りに包まれたお味噌汁。
それをおたまで掬い、皿に流し込む。
< 59 / 143 >

この作品をシェア

pagetop