私は確かに愛してしまった
「また来てください、待ってます」

「また来るよ」


別れ際に寂しげな顔をする下田さん。
いつものことだ。

奥さんとの夜はもう何十年もないと昔話していたのを思い出す。
寂しさに勝てず、私を抱きにくるのだ、とも。
わからなくもない。
人はみんな寂しいから。
現にそういう理由でここへ足を運ぶ人は沢山いるし。
< 8 / 143 >

この作品をシェア

pagetop