もう一度君に笑ってほしくて

しばらくして、ようやく落ち着いてきた逢沙は、静かに涙を流していた。
｢逢沙ちゃん、どうしたの？｣
逢沙はただただ涙を流し続けるだけだった。
｢先生ごめんなさい。今日はもう、逢沙を連れて帰っても良いですか？逢沙にも病院にあんまりいい思い出って無いから…｣
｢そうだね。今日はじゃあ、もうお家帰ろうか。和翔くん、ちょっといいかな？｣
｢はい｣
賀来は和翔を廊下に連れ出した。
｢逢沙ちゃんには精神安定剤と睡眠導入剤を処方しておくから、寝る前に飲ませてあげてください。それなら君もゆっくり休めるだろうから。それと、逢沙ちゃんはもうここに連れて来ない方がいい。僕が君のお家に伺う形で治療していこう｣
｢ありがとうございます｣
｢明日からお家に伺う形でも大丈夫かな？｣
｢はい。大丈夫です。ありがとうございます｣
和翔は逢沙を連れて帰った。