禁止すれすれ!?恋愛
 ホントならメールだけですませてもいいはずだ。

 なのに電話でホントに悪そうに謝ってる。

 我が儘、言えないよ……



 「ほんっとゴメンな。」


 急に声が近くなった。

 あたしは極力穏やかに、落ち込んでる気持ちを出さないようにして言った。


 「いいよ、気にしないで。
 仕事頑張ってね。
 何時頃帰ってこれる?」

 「それが…
 明け方になりそうなんだ。
 ホントごめん。」


 浩太の言葉が重くのし掛かる感じがした。


 「そっか…
 頑張ってね。
 あたしなら気にしなくていいから。」

 「ゴメンな。
 できるだけ早く帰るから。」


 電話の奥の機械音が浩太が電話を切ったことを告げた。

 あたしは受話器を置くと、後ろにいる裕介を見た。

 すぐに目が合う。

 裕介が目を逸らす。


 「……親父、何だって?」

 「今日帰れないって。
 だからもうご飯食べちゃお。」


 笑って言うと、裕介が戸惑ったように頷いた。


 「え?
 あ、あぁ……」


 台所に行ってご飯をよそいでいると、浩太が来て手伝ってくれた。


 「あ
 ありがと。」

 「……うん。」

 「先に食べてていいのに。」

 「…………」


 裕介は黙ったままお箸等をテーブルに持って行くと、イスに座ってあたしを待っててくれた。


 「おいしそうだね。
 早く食べよ。」


 移し皿を持ってイスに座る。


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