禁止すれすれ!?恋愛
 裕介の後姿を見送りながら、あたしは呟くように言った。

  
 「……やっぱ……いい気持ちはしないよね……」

 「そんなことないよ。
 あいつ、今は混乱してるだけできっとすぐ素直になるよ。」

 
 言いながら、浩太があたしの肩を抱いた。


 「行こう?」

 「……うん。」


 裕介はあたしの同級生。

 しかも同じクラス。

 つまり、新しい母親と息子は同級生だ。



 うん
 気まずいな。



 あたしの家が見えてくる。

 なんだか家に着くのが早く感じるのはなぜだろうか?


 「……今日は、ゴメンな。」

 「え?」

 「裕介の奴。
 ずっとあんなんでさ。」

 「あ、ううん。
 誰だって父親の再婚相手が同級生だって知ったらビックリするよ!」


 
 しかも先生と生徒だし。



 浩太がクスッと笑った。


 「ありがと。」

 「ん?」

 「いいや。
 宿題、ちゃんとしろよ。」

 「うん。」


 浩太が腰を屈めた。

 近付いて来る顔に、あたしは胸を早鳴らせながら目を閉じた。

 唇に柔らかいものがあたって、それだけで顔が熱くなる。

 唇が離れると、浩太があたしの頭に手をおいた。


 「明日もちゃんと学校来いよ。」

 「うん。」

 
 浩太の唇が欲しくてジッと見る。
 
 浩太がちょっと笑って、耳元で囁いた。


 「結婚したらもっとやってやるよ。」

 
 
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